デザインの保持は、モジュールのインプリメンテーション結果を次のインプリメンテーション反復用に保存する、複雑なデザイン向けのフローです。多くの場合、デザインに含まれる複雑なモジュールは変化しませんが、結果品質 (QoR) の要件を満たすことが困難な場合があります。タイミングを維持するためにこれらのモジュールに繰り返し費やす時間は、煩わしいだけでなく非生産的です。デザインの保持フローは、デザイン内の重要なモジュールのタイミングを一致させ、その後インプリメンテーション結果を将来の反復で再利用可能にすることにより、この問題を解決します。デザインのタイミング クロージャ フェーズにおいてインプリメンテーションの反復回数を削減し、検証フェーズの時間を短縮します。
デザインの保持フローでは、パーティションという画期的なインプリメンテーション機能を活用することにより、以前作成されたインプリメンテーションの結果を正確に (配線レベルまで) 保持できます。
このフローは、あるモジュールのデザイン変更により別のモジュールの合成結果が変化しないように、RTL の各モジュールを個々に合成できる合成フローから始まります。サード パーティのインクリメンタル合成フローとボトムアップ合成フロー (複数の合成プロジェクトとネットリスト) をサポートします。バージョン 13.1 から、6 シリーズと 7 シリーズのデバイス向けに、XST を用いたインクリメンタル合成がサポートされるようになりました。
パーティションの追加と管理は、PlanAhead デザイン環境またはコマンド ラインを介して行います。既存のタイミング クロージャ技法により重要なモジュールでタイミングが一致するまで、デザイン全体がインプリメントされます。タイミングが一致すると、次の反復で使用できるように、主要なパーティションがインポート ディレクトリにエクスポートされます。パーティション テクノロジは、「コピー アンド ペースト」アルゴリズムを使用してインポート ディレクトリにあるインプリメンテーション結果をインポートするので、同じタイミング結果が確実に得られます。タイミングが一致したモジュールを保持することで、タイミングを保持するために通常必要な反復回数が削減されます。また、インポートしたモジュールは同じタイミングを確実に有するので、インプリメントしたモジュールのみを検証するだけで済みます。