システム オン モジュール (SOM) とは、プロセッサ コア、通信インターフェイス、メモリ ブロックなど、エンベデッド処理システムの主なコンポーネントを単一ボードに搭載した、量産対応可能なプリント回路基板 (PCB) です。このようにモジュール化された SOM は、ロボットやセキュリティ カメラなどのエンド システムに最適です。
SOM のコンセプトは、ブレード サーバーから派生しています。これらの Thin サーバーは、ストレージ スペースの節約と消費電力の最小化を目的として作られました。ブレード サーバーの無駄のない設計という考え方が SOM アーキテクチャの実現に大きく影響しています。目的の機能に必要なコンポーネントだけを可能な限り小さなパッケージに収め、幅広い用途に対応できる柔軟性を備えているのが特徴です。
SOM は、システム オン チップ (SoC) とは異なります。SoC とは、その名のとおりコンピューターの主要コンポーネントを単一チップに統合したものです。SOM には SoC を搭載することもありますが、ボード ベースであるため、コンポーネントを追加するスペースがあります。
SOM は、開発者にとって不可能なことを可能にし、製品化までの時間を短縮し、コストを抑えることができます。エンベデッド システムを構築するには、カスタム ボードを設計して製造する必要があり、通常は非常に時間がかかります。SOM は、デザインを実現するために必要な手順を合理化します。ユーザーの要件に合った SOM を選択してエンド システムに統合するだけで、すぐに運用できます。量産に対応できる上に、デザインがモジュール化されているため、製品ライフサイクルの管理が容易になり、BOM コストを削減できます。
ソフトウェア、ハードウェア、さらには AI 開発に至るまで、SOM には注目すべき利点が多数あります。
SOM は世界中のシステムに採用されています。ここでは、そのアプリケーションの一部を紹介します。
最先端のセキュリティ カメラ システムにはビデオ分析機能が搭載されています。これを実現するのが SOM です。ビデオ分析を搭載したセキュリティ カメラは、認識した映像を機械学習で分類および理解し、正確な情報をリアルタイムに提供します。これは、エッジ コンピューティングを利用し、カメラやその他のデバイスがローカルで情報を分析する機能を備えていなければ実現しません。
現代のビジネスでは、在庫検査、署名認識、不良検出など、あらゆる場面でマシン ビジョンの存在が不可欠です。マシン ビジョンには、その場でデータを分析したり、センサー機能を再構成できるエンベデッド システムが必要です。SOM では、コストを抑えながらマシン ビジョンを最大限に活用できるシステムを構築できます。
スマート シティでは、あらゆる場所にセンサーを設置して情報を収集し、機能的で活気ある地域を維持するために必要なインサイトを提供します。これらのセンサーには SOM が採用されており、管理者が公共施設や交通機関などのあらゆる情報を見逃すことなく把握するのに役立っています。
Kria™ KV260 ビジョン AI スターター キットは、モジュール デザインのメリットを享受したことがなく、始めるきっかけを掴めていない開発者に最適です。AMD は、世界中の開発者に合理的かつ低リスクのソリューションを提供できるよう努めています。SOM の主なユース ケースに対応できるビルド済みアクセラレーション アプリケーションを多数提供することで、開発者をサポートしています。これらのアプリケーションは、誰でもマーケットプレイスからアクセスでき、今後も拡大し続けます。コードを記述する負担を軽減することで、開発者は最終製品をいち早く市場へ投入できるようになり、これまで不可能であった市場への参入が可能になります。
AMD の Kria SOM 製品ポートフォリオをご覧になり、是非、今日から SOM で開発を始めてください。このサイトでは、開発を始めるにあたって必要な情報やトレーニング資料をすべて提供しています。