AMD は、Vitis™ 2022.2 統合ソフトウェア環境向けに医療用画像処理ライブラリの提供を開始しました。レベル 1 の構築ブロックからレベル 3 の完全な超音波ビームフォーマー デザインまで、あらゆるレベルのデザインを提供しているため、独自の医療用画像処理製品をすばやく構築して市場に投入できるようになります。当社のソフトウェア ライブラリ、資料、サンプル デザインを活用して、AI エンジン搭載の Versal デバイスでデザインを構築する方法を紹介しています。すべての医療用画像処理機器メーカーは、レベル 1 の基本構築ブロックを利用できるため、高水準プログラミング言語を使用して独自のアルゴリズムをすばやく展開できます。
超音波機器メーカーは、レベル 2 ライブラリを使用できるため、高水準言語を使用して独自のアルゴリズムを展開し、製品の市場化を加速できます。ライブラリ レベル 2 のツールボックスには、高性能超音波ビームフォーマーの構築に必要な機能とサンプル デザインがすべて含まれており、ライブラリ レベル 3 には完全動作可能な構築済みアプリケーションが含まれています。これらを含む多様なライブラリ レベルの詳細は、後のセクションで説明します。
ライブラリ レベル 3 に含まれる次世代 UltraFast™ 画像処理リファレンス デザインは、Vitis 医療用画像処理アクセラレーション ライブラリを使用しています。このリファレンス デザインは、逐次的に取得する一般的な方法から、球面波または平面波を用いて平面全体の画像を同時に取得する方法へと医療用画像処理にパラダイム シフトをもたらします。これにより、撮影した画像の中で任意の場所にフォーカス、高品質な 3D/4D 画像を取得、さらに 1 秒間に数千枚の画像を取得できるようになります。
AI コアや AI エッジ シリーズのように AI エンジンを搭載した AMD ザイリンクスの ACAP プラットフォームでは、128 個のアクティブ エレメントと 200 本の線を認識できる分解能を持つ合成開口や平面波アルゴリズムを実行するビームフォーマーを単一デバイスで実現でき、心臓画像や腹部画像、その他細部の画像が必要となるあらゆる領域で 100 ~ 1000fps のスキャン レートを実現します。
Vitis AI エンジン医療用画像処理ライブラリは、Versal AI エンジン ベースのアプリケーション開発に使用できるコンフィギュレーション可能な機能を提供します。これらのオープンソース ライブラリは、超音波ビームフォーミング、CT の画像再構成、2D-FFT を用いた MRI 画像再構成、MRI マグネットの勾配プロセッサ制御、X 線や心電図などの入力からサンプリング/デジタル化したデータの画像処理など、特定の DSP アプリケーションを対象としています。これらのライブラリは、Versal ACAP VCK190 ボード (製品版) で動作検証済みです。
今回のリリースでは、多様な医療用画像処理アプリケーションに対応できるレベル 1 の基本構築ブロックから、高性能な超音波ビームフォーマーを構築するための完全リファレンス デザインまでをサポートしています。このシリーズは、以下を提供します。
L1 - 抽象度が最も低い (シンプルな BLAS で構成)。これらの動作は、オープンソース NumPy ライブラリの C++ の実装で定義されています。L1 ライブラリは、算術演算と一部のベクトル操作/演算をサポートしています。
L2 - ビームフォーマーの機能ユニット (L1 ライブラリを構成して実現できる)。
超音波ライブラリ L2 には、RF データのビームフォーミングに必要な数学的コンポーネントが含まれています。L1 API に対して、これらのコンポーネントは AIE グラフであり、もはや単一のカーネルではありません。したがって、L1 レベルより高い抽象度で定義されています。
L3 - 完全なビームフォーミング デザイン
抽象度が最も高い、L2 レベルで提供されるユニットを含む完全なビームフォーマーです。合成開口 (SA)、平面波 (PW)、スキャンラインの 3 種類のビームフォーマーを提供しています。
図 L3 に、PW ビームフォーマーのアルゴリズム例を示します。